無理、俺にして
優しい奴もいるヨ


「きゃー!! 今日もかっこいい!!」

「えーどうしたの? 円城くんに用事?」


翌日のお昼休み。

教室の入り口が女子の黄色い声で盛り上がっている。


「んや、今日は秋音じゃないんよね~」

「えっ!? じゃあもしかして……女子の誰かに用事!?」

「え、やばっ、誰!?」


私は、昨日洗ってきた折原くんのワイシャツが入っている袋をぎゅっと抱きしめる。


「ゆめちゃん、どしたの?」


ぷるぷると体を震わせる私を心配したあっくんが、そっと背中をさすってくれる。

……けど。


「……き、聞いてた話と違う……」

「え?」


聞いてた話と違う!!

心の中でもう一度同じ台詞を叫んで、入り口の方を見る。
……女子に囲まれて、まるで悪魔のような笑顔を浮かべた折原くんがそこにいた。

そしてその女子達の間を割るようにして、教室の中に足を踏み入れてくる。

やっぱりこっちに向かって来ますよね、そうですよね……っ!


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