無理、俺にして

「よっぽどお前のがめんどくせえからな!!」

「……」


ふいっと顔を逸らす。
そんなの、自分でもわかってる。

我ながらひねくれた性格だとちゃんと思ってるってば。


「そんなお前でも、ちゃんと好きだから安心しろ!!」

「っ!!?」


まじで。

まじでこいつ。

外に誰かいたらどうすんだよまじでこいつ。


「秋音よ、オリくんひんし状態なんだけどまだ続く……?」

「大丈夫、俺もひんし状態。回復アイテムほしい」


真っ赤な顔してまだ何か言うつもりか。

もうこいつ、どうやって黙らせよう。


「ゆめちゃんも、元気ない。たぶん俺らと同じでひんし状態」

「……?」


あの空き教室での一件以来、あの子とはまったく話していない。

俺の言葉で色々考え直してくれると思った。
秋音と一緒にいた方があいつやあいつのかーちゃんの、男に対する見方が変わるだろうし

ノートに書いてあったようなことも、秋音とした方がいいと思った。

……はじめてなら、なおさら。
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