無理、俺にして
「オリ」

「はいよ」


やっと秋音の目を真っ直ぐ見ることができた。

めっちゃいい顔してんな、こいつ。


「親友でもあるけど、今日からライバルでもあるって認識でいい?」


その台詞に、つい笑みがこぼれた。


「そっちこそいいの? 本気出したオリくん全力で落としにいくケド」

「は? こっちには幼なじみって言う最強装備があんだよ」

「なに、マウント? やる?」

「いややらんけど」

「くふ」


なんだ。

ガチで話した後でも、こうやっていつも通りに話せるんじゃん。


隣でこうして、いつも通りのテンションで話せるんじゃん。


きっと誰とでもそうなれる訳ではないんだろうけど、
こうなれる人は必ずどっかにいるんだ。


「ほんじゃま、さっさとやること済ませて」

「回復アイテムでも持って行きますか」


俺と秋音はコーンを指定の位置まで運び、教室へと向かって共に走った。


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