無理、俺にして
*ゆめside*

「……あ、もうこんな時間」


少し肌寒くなってきたなあと思ったところで、やっと時刻が夕方の六時を過ぎていることに気付く。


「……」


立ち上がろうとして、もう一度うずくまる。

このまま消えてしまいたいと何度思ったことか。

何かを察したのか、お昼休みになる度にあっくんが私に色々話しかけて元気づけようとしてくれてたし、私もそれは嬉しかった。

でも、元気が出ない。

そして放課後にはふらふらとこの屋上に来てしまう。


ここに来たって、折原くんはいないのに。


「……はあああ~……」


この間、学校から帰る途中寄った本屋さんで、思い切って少女漫画を買った。
ちゃんとお母さんにバレないように、机の奥に隠してる。

胸がきゅんきゅんするようなことばかり。
私がしてみたいことばかり。

たくさんの素敵な恋が、その一冊には詰まっていた。


で、多分私は折原くんに恋をしてるんだと、その一冊を読んで思った。

物語の主人公の隣にいるような、頼りになるお友達なんて私にはいなくて。
恋の相談とか、背中を押してくれるようなそんな人が私にもいたらな、なんて思ってしまった。

友達の一人や二人、作っておくんだった。

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