無理、俺にして
きっと折原くんは、私が面倒くさくなったんだろう。
だから、あっくんに絡みに教室に来たときも目すら合わせてくれないし
メッセージだって全然送られてくる気配はない。
私から送る、なんて勇気はもちろんない。
というか、折原くんの態度が全般的に私を拒絶してるようにしか見えない。
あっくんのことをちゃんと考えろ、と言われて。
あっくんのことをちゃんと考えたつもりなんだけど。
彼は彼でいつも通りすぎて考えたところでわからない。
というかそもそも何を考えるの?
性格?
顔?
頭?
顔はもちろん整ってるし、頭はちょっとバカだけど、性格はめちゃくちゃ優しいと思う。
こんな面倒の塊みたいになってしまった私にも、いつも通り気さくに話しかけてくれるくらいには、とても優しいと思う。
「……さむ」
そろそろ教室に戻ろ。
……お母さんはきっと今日も帰ってこないだろうし、少しくらい遅くなってもよさそう。
重たい腰を今度こそ上げて、屋上から出る。
階段を降りて、空き教室が目に留まった。
「……」
いつもここで立ち止まって、ドアを開けようとする。
もちろん鍵はかかったままだから開くわけがないんだけども。