無理、俺にして
「屋上いた?」

「え、う、うん……っ」

「くふ、当たった」

「……っ!!」


ひ、久しぶりに

折原くんが私の事見てくれた。
そして笑ってくれた。


「ゆめちゃんが見つかってよかったマジで……」

「あは、ふたりとも探してくれてたの?」

「うん」

「どっかで泣いてるんじゃないかって、心配した」


二人が私を探してくれていたことが嬉しくて、じんわり胸が熱くなって。


「おーい」


折原くんが一歩二歩と近づいてきて、顔をのぞき込んでくる。


「もう、だいじょぶだよ。ゆめ」

「……っ」


だから、そんなに優しい声で呼ばないでってば。


頑張って我慢したのに。

なによ、急にそっけなくしたくせに。

急に離れていったくせに。


本当はちゃんと優しいの、知ってるんだから……!!

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