無理、俺にして
「そういえば、ほんとにうさぎの小屋のクーポン持ってたんだねあっくん」
生徒玄関まで来たところで、ふと思った。
たしか何度か通ってポイントをためないともらえないはず……。
それをどうしてあっくんが持ってるのか今更疑問に思って、聞いてみる。
「え、あ、ああ……」
「……男二人にはなかなか地獄な空間だった」
「オリ、オリ!! しーっ!!」
「え、折原くんとあっくん二人で行ってたの?」
「……」
急に下を向く二人。
それが肯定だということを理解したとき、また笑いがこみ上げてきた。
「あははっ、あそこってすごくかわいいメニューしかないって風の噂で聞いてたけど、ぶふ、あはは」
「ゆめちゃん? 笑いすぎでは?」
「ごめ、ちょ、想像したら、あはは……っ」
「あとパフェがゲロ甘い」
「店員さんもみんなうさ耳つけててさあ」
「めっちゃ周りの女子高生に見られた」
「あははっ、絶対カップルだと思われてたよねそれ……っ」
こうして帰りは二人からうさぎの小屋での出来事を色々教えてもらって。
ずっと悩んでた反動がきたみたいに笑いながら帰った。