無理、俺にして
グラウンドから校舎に向かいながらお互いの苦手な競技について話してる。
それだけでも、さっきまでの疲れがどこかに行ってしまいそうなくらい私にとっては楽しい時間。

高校に入って、初めての友達ができたんだもん。

もっとたくさん話して、仲良くなりたいな。


「ゆ、ゆめちゃんあれ見て……!!」

「え?」


ふみちゃんが指差した先に視線をうつす。


「ひゃっ!!?」


そこにはゼエゼエと苦しそうに呼吸をしながら倒れている男子の方々の姿が。
……こんなになっていということは、たぶん赤組の人たちだろう。


「赤組って青組と違って毎年優勝してるから、練習も相当ハードだって噂、本当だったんだね……」

「私、青組でよかったかも……」


確か、赤組は特に応援合戦に力を入れてるんだっけ……。
毎年の体育祭の目玉なんだとかなんとか。

ふみちゃんの「青組でよかった」という言葉にはさすがに共感しかなくて首を縦に振りまくった。


「お前らそれでも赤組か!!」

「「ひっ!!?」」


赤組の団長らしき人の声に驚き、私とふみちゃんは手を握り合って飛び跳ねた。


「まだまだお前らの本気はここからだろ!! 立てぇ!!」


さすが、優勝候補の赤組……。
練習からすでに熱量が違いすぎるよ。

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