龍臣先輩は今日も意地悪


「ちょっと咲結、見てたよ~!青春じゃーん!」


「…怒るよ麻里奈」




「はは、顔怖すぎ。さっそくあっちの方で騒ぎになってるね。 “ みんなの夏木先輩 ” が女の子とハチマキ交換なんてするから」


「やめて言わないで私のこと隠して」




自席に戻っても落ち着かないのは突き刺さる視線のせい。



赤団だけじゃなくてほかの団の子までざわざわしてる。



私と龍臣先輩のやりとりとハチマキの噂は一瞬で拡散されたらしい。


全部、ぜーんぶ龍臣先輩のせいだ。




「朝っぱらから大変なことになってるな」



「…安堂くん」




隣の席に腰掛けるのは安堂くん。


こないだの下駄箱での一件から勝手に気まずい。




なんでこう次から次へと……




「これ、なんで交換してんの」




安堂くんは無表情のまま私の首にかかるハチマキに触れた。


さすがのやり手の安堂翔琉、目ざとい。




…というか、彼がお持ちの広い人脈からうわさを聞き付けたのか。




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