龍臣先輩は今日も意地悪
龍臣先輩のこと、すき。
考えたことがないと言ったらうそになる。
前にお昼の時間に麻里奈と話したことを思い出した。
『ねぇ咲結、正直どうなの?夏木先輩。ナシなの?
咲結にしては距離近くなってきたし、お似合いだと思うけどなぁ』
『もう、麻里奈ってばそればっかり…まだそんなこと考えられないよ。』
『でも咲結が突き放さないってことは嫌いではないんでしょ?』
「麻里奈…私、龍臣先輩のこと好きなのかな」
二人三脚を終えて座席に戻り、麻里奈にそんな話をする。
「私は咲結じゃないんだからわかんないけど、咲結が好きだと思うんならそれが答えだと思うよ」
「…頭パンクしそう」
いっぱいいっぱいだった。
もうしばらく恋なんてしないと思ってたのに。
「咲結も前進んだらいいんじゃない?いいじゃん、夏木センパイ。
私前から二人が付き合ったらいいのにって言ってたわけだし」
「でも先輩、エリカ先輩に抱きつかれて笑ってたじゃん。…もう辛い恋ならしたくないよ、私」
裏切られるのが怖い。
自分はこんなに弱い人間だったのかと思う。
でも、思っていたより遥輝に浮気された傷は深かったのかもしれない。
「バカだなあ咲結。しんどくない恋なんてないよ、私だって好きな人と喧嘩したらしんどいし悲しい。幸せだけな恋はどこにもないの!」
「…はあ」
好きになってしまった。
きっと。
…ううん、絶対。