龍臣先輩は今日も意地悪
「真面目ちゃんだな。」
「…恋とか、まだよく分かんないんです。経験も全然ないし」
好きってなんだろう。
遥輝と付き合うまで全く理解できなかった。
クラスの女の子たちは○○がイケメン、○○が好き、付き合ったとか中学の頃から言っていたけど。
友達に対する好きと恋人の好きの違いが私にはイマイチ区別できてないんだと思う。
ただ、遥輝は大切な人だった。
一緒にいたいと思う人だった。手を繋ぐのもデートするのも嫌じゃなかった。
「恋って難しいですね」
「好きだったんでしょ、あの子のこと」
「たぶん……いや、好きでした。ちゃんと。」
気持ちを伝えることとか、行動に移すとか、苦手だからできなかったけど。
遥輝はそれでもいいと思ってくれてる気がしてた。
そんな私でも好きでいてくれると思っていた。
考えが甘かったのかもしれない。
「ここ数週間連絡とってないし、デートもしてないし学校でも話してなかったんです。いつもだったら遥輝から来てくれてたんですけど」
こういうことだったんだ。水森先輩と浮気してるから、私は必要なかったんだ。
遥輝のあんな幸せそうな顔、初めて見た。
本命はきっと、もう私じゃないんだ。