龍臣先輩は今日も意地悪



「…してください」




期待、していいのに。


私もう龍臣先輩のこと好きになっちゃったのに。



龍臣先輩は別に私のこと好きだなんて一度も言ったことないし、いつもただからかわれてるだけなんじゃないかと思うといえなかった。




こんなとき、麻里奈みたいなポジティブさとまっすぐさが欲しくてたまらなくなる。




「ごめん、なんか言った?車の音で聞こえなかった」



「何も言ってないです」




これほどまでに通りすがりの排気音がでかい車に感謝したのは人生初だろう。




「そっか。ってか田宮と何話してたの?なんかやなこと言われてないよね?」



「…ちょっとした立ち話です」



「うわ出た、ガールズトーク。内容教えてくれないヤツ」




龍臣先輩は露骨に嫌そうな顔をした。



確かに嫌いそうだな、こそこそ話したりされるの。


自分は一切何も気にせず何でも言っちゃうタイプだから。




「まあやな事されてないならいいや。田宮とやりあいそうなタイプじゃないし咲結は」



「…私はってことは水森先輩は」




元カノのことを聞くのは不本意だけど、これは単純に気になったから聞いてしまった。




「あー、そりゃもうバチバチにやりあってたね。付き合ったばっかのころは特に」



「そうなんですか…」




水森先輩、おしとやかそうに見えて実はそんなことないのかな。



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