龍臣先輩は今日も意地悪
「最初あんだけ距離置かれてたのに今じゃこんなに懐いてくれちゃって」
「…猫ですか、私は」
「動物に例えるなら猫じゃん?」
「エリカ先輩のほうがよっぽど猫っぽいと思いますけど」
「たしかに。田宮は家猫、咲結は野良猫か地域猫だな」
そういう話をしてるんじゃなくて…なんて突っ込みも入れるのもきっと無駄。
だけどこんなくだらない会話でも楽しくて頬が緩んでしまう自分がちょっとだけ情けない。
私の表情筋は龍臣先輩に出会ってどうもゆるゆるにされてしまったらしい。
「やだあ咲結ちゃん、乙女の顔」
「…やめてくださいエリカ先輩、変なこと言うの」
自分も龍臣先輩が好きなのに、なんで邪魔するどころか近づけるようなことをしてくるんだ。
エリカ先輩の行動すべてが疑問でしかなかった。
「ほんと何しに来たの、田宮」
「やだ、冷たいナツキ。そんなんじゃモテないよ」
「もう十分だし。てか好きな子だけ振り向いてくれればいいから」
この二人の関係性がいまいちつかめない。
こんなに距離感が近い二人なのに、お互い苗字呼びだしエリカ先輩から龍臣先輩のことを好きな感じが見えなくて。
「何難しい顔してんの、咲結」
「ほっへふはははひへふははい(ほっぺつままないでください)」
「ん-?なんて?聞こえない」
悪魔だこの人。絶対悪魔。前世は少なくとも悪魔。