龍臣先輩は今日も意地悪
「咲結?生きてる?」
「いい?サユちゃん。黒髪センター分けの男はクズだから。近寄っちゃだめだよ(※エリカの偏見です)」
二人のやり取りの内容に開いた口が塞がらない私。
龍臣先輩はそんな私にいつもの “ やりすぎてしまった ” 顔で心配してる。
「おい田宮!つーかいまセンター分け関係なくね?今日たまたまじゃん!たまたまセンターパートにセットしてきただけな!?」
「はいはい。ってかそもそもナツキは顔からクズ臭する」
「ぶっとばすぞ」
二人の掛け合いが繰り広げられる中私は今起きたことがまだ整理できず。
ごっこって何?
エリカ先輩龍臣先輩のこと大好きじゃないの?
大好きなふりってこと?でもなんでそんなことする必要ある?
「え?ナツキあたしらのことサユちゃんに言ってなかったの?」
「うん、ちょっとくらい妬いてくれたらなくらいに思ってたから」
「うっわ、やっぱ性格わるぅ。サユちゃん、あたしらね?――」
そしてエリカ先輩から語られた話はこうだ。
龍臣先輩はもともと女の子たちに愛想を振りまく人でもなく、水森先輩にしか優しくなかった。
3年生になってからクラス替えで龍臣先輩とエリカ先輩は同じクラスになりお互いの存在を知る。
エリカ先輩は水森先輩と敵対関係にあり、龍臣先輩とはお互いを異性としてみていないから仲良くなる。
そんなところに私が現れておもしろそうだから、からかうつもりでライバルのふりをした。