龍臣先輩は今日も意地悪
「え?安堂くん泣きそうなの?」
「泣かないわそういう冗談じゃん、例えみたいなもんじゃん」
安堂くんは相当ツボにはまったらしくゲラゲラと笑っていた。
「ま、俺は有明が幸せならそれでいいんだけどね。入る隙一切なかったし。いやあ俺いい男。もったいないよ有明。」
「うんと…ありがとう?」
安堂くんはいつもよくわからない独り言を言っている気がする。
龍臣先輩もよく独り言を言うけど、安堂くんのほうが多いような。
「まあ今度こそ幸せにしてもらいなよ、あの人浮気なんかしなそうだし」
「…そうだね」
安堂くんはきっと遥輝のことを考えて言っているんだろうな。
「よし、俺も彼女作ろ。有明より美人で頭よくて可愛い…いやそんな女いないな」
「…何の話?」
安堂くんといい龍臣先輩といい、ぎりぎり聞こえない声でぶつぶつ話すのやめてくれないかな。
…私の耳が悪いだけなのだろうか
「安堂ー、おいてくぞ」
「じゃーね有明。せいぜい幸せになりたまえ」
「わっ」
安堂くんは私の髪をわしゃわしゃーっとかき混ぜるようになでた。
「夏木センパイの真似」
「髪の毛ぐしゃぐしゃになったんだけど!」
「どんまーい、ばいばーい」