龍臣先輩は今日も意地悪


「咲結ってばなんで急に夏木先輩の話なんかしだしたの?惚れた?」


「…なわけないじゃん。図書委員だったの、あの人。昨日初めて見たから」


「あんなに目立つのに今まで見たこと無かったなんて咲結の視力疑うよ。どんだけ遥輝以外見えてないのさ」




ぎくっ




麻里奈から遥輝の名前が出て私は気まずくて俯いた。


言うべきか。

浮気されましたって。




でも…それじゃあ遥輝が悪者みたいじゃん。


いや、悪者なのかもしれないけど。





修羅場とか喧嘩とか、やだからなぁ。





「…麻里奈、今日のお昼屋上行かない?聞いて欲しいことあるんだよね」


「え?いいよ。今日晴れてるし」





やっぱり、麻里奈には言おう。


そして相談に乗ってもらおう。


麻里奈ならきっと私の気持ちもわかってくれるはず……








「はぁ!!!?浮気されたぁ!!?」


「声でかいよ、麻里奈…」


「いやいやいやいやいやいや!!!!!何が“浮気されたけど別れなくてもいいかな”よ!!!!あんたどんだけ馬鹿なの!!!?」






分かってくれるどころかドン引きされました。





「うーん、なんていうか…浮気されたのはこの目で見たけど、嫌いになりきれてないっていうか。今までと感情があんまり変わってないの」




自分でも変だと思う。

ドラマとか漫画の世界では浮気された女の人は彼を刺してみたり、引っぱたいてみたり…

でも私は別に、そこまで怒ってるかと言われたらそうじゃない気がする。




「やっぱり変かなぁ」

「変だよ変。絶対。」




ズバッと切り捨てられ、挙句の果てに麻里奈から信じられないという表情を向けられた。

我が親友ながらサバサバしてるなぁ。



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