龍臣先輩は今日も意地悪


ドライなんて初めて言われた。



私もしかして夏木先輩にだけめちゃめちゃ冷たくしてる?


だとしても無意識と警戒心だし許してくださいってことで。


「あ、もしかしてドライなんじゃなくてツンデ」



「声でかいです、ここ図書室なんで」



ここが図書室でよかった。



「はいつぎ、有明チャンの番」



「……有明咲結です。咲くに結ぶって書いて咲結」



「え、書いてくれないの?サイン」



ニコニコしながら手の甲を差し出してくる夏木先輩。




「は?」



「書いてよ、ほら。俺忘れっぽいから」


「どこのおじいちゃんですか…はぁ、わかりましたよ」





私はさっき夏木先輩にやられたみたいに手の甲に名前を書いてあげ…




るわけがなかった。





「はい、できました」





メモ帳を1枚ちぎって “ 有明咲結 ” と書いて夏木先輩に押し付けた。


だって夏木先輩レベルの人の手の甲に名前なんて書こうもんなら、先輩どころか学校中から目をつけられそう。



平穏に暮らしたいのさ、私は。



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