龍臣先輩は今日も意地悪


「咲結、カバン持ってきた」



「うそ、ありがとう遥輝。帰ろっか」




職員室を出るとそこには自分のと私のカバンを二つ持った遥輝がいた。



鞄に揺れるおそろいのキーホルダー。


ここだけ見たら前と変わらない景色なのになぁ。





「あー…わり、俺体育館で自主練して帰るから。先帰って」


「…そっか、じゃあまた明日。頑張ってね」





ねえ、遥輝。

なんで今目逸らしたの?

自主練なんじゃないの?



なんて、また遥輝を疑ってしまう自分が醜くてしょうがない。





「__おやおや、こんな所に咲結チャンみーっけ」



「…なんですか、先輩」



「そんな冷たい目向けんなよ。ってか昨日は龍臣先輩っ♡って呼んでくれてたのにもう辞めちゃったの?」





…先輩じゃなかったらぶん殴ってたよ、たぶん。





「こんな公共の場で先輩と一緒にいるの見られたら私がどうなることか」





校舎裏で集団リンチ?悪口書かれた手紙下駄箱に入れられちゃう?すれ違いざまにブスとか言われる?



むりむりむり、目立たず大人しく生きたいのに。




「ね、一緒にかえろーよ」


「だから……」

「図書委員の買い出し!ね、ほら言い訳あるから安全」



にっと笑う龍臣先輩は一体何を考えているんだかさっぱりわからない。


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