龍臣先輩は今日も意地悪
私と帰ってなんのメリットがあるって言うんだ。
まあこの間は結局片付けの後自分の家を通過してまで私の家の前まで送ってくれたんだけど。
正直、優しすぎてこわい。
というか完璧すぎてうさんくさい。
まぁ、イケメンなんてみんなそんなもんか。(当社比)
麻里奈が言ってた。
『天然とイケメンは信じるな』って。(麻里奈氏の偏見による)
うん、だから。まだ心は開くつもりない。
「なに、人の顔まじまじと見ちゃって。惚れた?」
「…ふっ」
ないな。
「え、今鼻で笑った?笑ったよね?ねぇちょっと咲結サン?僕先輩なんだけど?そこそこいい顔してるんだけど?」
「それ自分で言います?」
たしかにかっこいい部類だとは思うけど、自己肯定感が高いようで。
私には一切無いものだから色んな意味で羨ましいわ。
「冗談じゃんジョーダン。マイケル・ジョーダン。」
「……」
「ねえせめて突っ込んで?先輩悲しい」
「……」
「うぉい!」
なんなんだ、この人。
「ねえ、あんなとこでハルキクンと何してたの?仲直り?」
「…そう見えました?残念ながら世界一気まずい週番です、」
靴を履き替える私を横目に、すでにローファーを履いた先輩はふぅんと呟いた。
仲直りしてたら、多分今頃一緒に帰ってる。
仲直りどころか、きっと遥輝はまた恋奈先輩の所にいったのに。