龍臣先輩は今日も意地悪


「浮気したのって聞いた?」


「…まさか」




聞けるわけないじゃん。



私は怖いんだ、遥輝からきっぱり別れを告げられるのが。



先輩ほど割り切れてないし、先輩ほど強くない。




「…よし、帰ろっか。先輩が美味しいアイスの店連れてってあげる」



「だから…先輩と一緒にいたら私が」

「図書委員の買い出しだってば。ね?」




……それならいっか、なんて思ってしまう自分が嫌だ。



でも、一緒に帰るくらいなら許されるよね。


遥輝みたいに、浮気じゃない。




「今ならもれなく俺の奢り。どう?」


「……トリプルアイスでトッピングありなら」


「おぉ、容赦ないねぇ。いいよ、昨日給料日だったから」





龍臣先輩は私の冗談をそのまま聞きいれた。



…なんでただの委員会の後輩にこんなに優しくしてくれるんだろう。



同情か、仲間意識か、何なのか。




まあ、いいや。なんでも。



< 44 / 155 >

この作品をシェア

pagetop