龍臣先輩は今日も意地悪
心配してくれてるって、わかってる。
親友だからこそ、私が浮気されてるのなんて見てられないのかもしれない。
麻里奈だって何回か浮気されて泣いていた。
私も、麻里奈が恋愛で傷ついてるのを散々みてきたから。
「よし、暗い話はこの辺にしとこうか。帰ろう麻里奈。」
「…ごめんね咲結、カッとなって余計なこと言ったわ」
「そんなこと、ないよ…ちゃんと考えてみる。心配かけてごめん」
蒼斗先輩は気を使ってか、涙を浮かべた麻里奈を連れて店を出ていった。
きっとこのまま一緒にいても、暗い空気のままだから。
頭整理して、遥輝のこともちゃんと考えなきゃ。
「…泣きそう?」
「…平気です。巻き込んでごめんなさい」
「何言ってんの、巻き込まれたも何も俺も当事者だから」
龍臣先輩は私の頭を優しく撫でた。
この手にどこか、落ち着いてしまっている自分がいる。