龍臣先輩は今日も意地悪


「ここぞとばかりにみんな咲結ちゃんに告白しに行ってて大変だね」



「…どうやったら呼び出されなくなりますか」



「無理じゃない?咲結ちゃん可愛いし。彼氏いるからみんな黙ってたけど別れたらそりゃねぇ」




霧崎先輩は笑顔で恐ろしいことを言った。




そう、私はいまいわゆるモテ期とやらに悩まされている。

ありがたいことだから悩まされるっていう言い方もどうなのかと思うけど。ぜいたくな悩みだけど。




遥輝と別れて2週間。


噂は校内に浸透しきり、一時は付き合ってた頃とは違う種類の突き刺さる視線にも悩まされていたけどもう慣れた。



一方遥輝とは席替えで席が離れたのでかかわってもない。


思えば、私たちが別れたタイミングぴったりに行われた席替えもきっと誰かの気遣いだろう。



呼び出しや告白をしてもらえるようになったのもその頃。


人生に3度あるというモテ期とやらがまさか自分に来ると思ってなくて、告白されても困ってしまうんだ。

せめて知り合いだったらいいものの、全く知らない人から告白されて断っても諦めず押してくる人もいて。



モテる人って人生ずっとこんな生活なの?とも思った。


そして初めて龍臣先輩を尊敬した。いろんな意味で。



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