龍臣先輩は今日も意地悪

「…彼女いないもんね、安堂くん」



「おいさらっとディスんな、俺だってそこそこモテるんだぞ」




そう、安堂くんはこんなんでもたいがいモテる。


私よりも告白された回数は全然多いだろうし、告白現場だって見たことある。




「…なんで付き合わないの?」




質問してから我に返った。


あ。聞かなくても理由なんてわかるじゃん。




「好きじゃないから、だよ。有明も一緒だろ」


「…そうだね」




好きじゃないけど付き合った、あの頃の私。


今の私は、もう違うらしい。




「咲結、そろそろ記録変わってって先生が。走っといで」


「ありがとう麻里奈」



表とペンを麻里奈に引き継いで私はまだ走っていない子たちが並んでいる列に合流した。




「おう有明、いつもサンキューなー」


「いえ、大丈夫です」




先生、絶対気づいてない。



ア行ばっかこき使うなって思ってるなんて。

たまには他の人雑用に回せって心の中で怒ってるなんて。



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