龍臣先輩は今日も意地悪
「咲結って運動経験ないの?」
「小さいころちょっとダンス習ってただけで別にないですよ」
言わないほうがよかった、そう後悔するのはわずか3秒後。
ニヤッと笑った龍臣先輩に嫌な予感がした瞬間だった。
「へえ、ダンスやってたの?なら援団のチアリーダーやらない?」
「やるわけないじゃないですか」
なんで私がチアなんて。
あんな短いスカートも可愛いチア服も遠慮。大遠慮。
そもそもどう考えたって、にこりとも笑わない私にチアなんて無理。
「チッ、残念。当日俺学ラン着るから楽しみにしてて」
「…なんで学ラン?」
うちの学校は男女ともにブレザーだ。
学ランなんて着ようものなら生徒指導の先生にぶっ飛ばされそう。
「仮装リレーですか?」
「援団だよ、ほんとに興味ないんだね体育祭」
「興味ないっていうか、去年風邪ひいて参加してないんですよ」
「へぇ、じゃあ初体育祭は俺が楽しいものにしてあげる」