龍臣先輩は今日も意地悪
「この辺まででいいですよ、先輩この道まっすぐですよね」
「何言ってんの、ここまで来たら家の前まで送るし。右曲がっても帰れるから。ってこの会話毎回してるの忘れた?」
私の家と先輩の家の分岐点の曲がり角。
いつもここまででいい私vs家の前まで送りたがる龍臣先輩でけんかになる。
まあ、いつも折れるのは私なんだけど。
「何、そんなに家の前来てほしくないのはなんでなの?」
「…べつにそういうわけじゃな」
「あれ、咲結?何してんのこんなとこで…って、えぇ!?男!?男連れ!?」
終わった、最悪だ。
これが嫌で家の前まで送らなくていいって言っていたのに。
「やだぁいつの間に!こんなイケメンな彼氏!!え、アイドル?俳優?モデル?」
「っ、うるさいよお姉ちゃん!!!」
軽く目を見開いた龍臣先輩をじろじろ見つめる金髪の女の人の裾を引っ張って引きはがす。
そう、この人は龍臣先輩といるときに一番会いたくなかった人。
私の姉である。