幼なじみの一途な狂愛
「じゃあ、梨々。
行ってらっしゃい!」
「乙哉も!行ってらっしゃい!」

一緒に住み始めて、約一ヶ月経った。


一緒にマンションを出て、駅で手を振って別れる。
そしてお互い、職場に向かう。

家事も分担し、大型の物は乙哉が金を出し、小物は梨々香が出す。
休みの日は、一緒にショッピングしたり、映画に行ったり、スグル達とみんなで遊びに行ったり、光昭のバーで飲んだり………二人は、同棲しているカップルのように過ごしていた。


「それ、彼が可哀想じゃない?」
一緒に昼食中……及川に言われた、梨々香。

先日及川達と飲み会があり、帰りに乙哉が迎えに来て軽く紹介をした梨々香。

及川には、簡単に乙哉との関係を話していた。

「そうかな?」
「だって、佐南くんは石蔵ちゃんのこと好きなんでしょ?」
「うん…」
「本当なら、石蔵ちゃんともっと触れあいたいんだと思うよ?キスとか、それ以上も……!」
「だよね……」
「それに━━━━━」
「ん?」

「石蔵ちゃんも、好きなクセに!!!」

「え……」

「違うの?
…………てか!違わないよね?
紹介してくれた時、すぐにわかった!
石蔵ちゃん、佐南くんのこと好きなんだろうなぁーって!」
微笑み言った、及川。

「え!?」
「どんな表情(かお)してたか、教えてあげる!」
「え?」

「及川さんが、乙哉に惚れたらどうしよう……!
それより乙哉だって、ウチの社員の誰かに惚れるかも?
お願い!みんな、乙哉を見ないでぇーー!」

「え………」
「………って、顔!!」

「そんなこと…/////」
顔がみるみる赤くなる、梨々香。

「可愛い~梨々香!」

「え?」
「呼んでいい?“梨々香”って」
「え?うん、もちろん!」
「私も心実(ここみ)って呼んで?」
「うん!」

「気持ち、伝えなよ!」

「伝えようとは思ってるんだけど…いざそうなると、なかなか勇気でなくて……」
心実から視線をそらす、梨々香。

「佐南くん、カッコいいよね~!とっても」
「は?」
「私、タイプなんだよね~」
「え……心…実…?」

「口説いてみようかな~(笑)」

「やめて!!!」
バッと立ち上がり、イスが倒れる。

「え……梨々…香?」
「お願い!!乙哉だけは…お願い!
もう……乙哉がいないのは…耐えられない……」
そして、心実に訴える。

「ごめん!!梨々香!!冗談なの!!ごめん、ごめんね!!」
心実は慌てて、梨々香をなだめる。

「え……」
「ごめんね!梨々香を焚き付けようとしたの。
ごめん、焚き付け方……間違えた……!ごめんなさい!」
そして頭を下げて謝る、心実。

「あ、そ、そうか……ごめんね、取り乱して……」
「ううん…」

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