幼なじみの一途な狂愛
「梨々香、今日は本当にごめんね!」
「いいって!凄い取り乱しちゃった、私が悪いんだし……」
仕事が終わり、駅まで心実と二人で向かっている梨々香。

「梨々香」
「ん?」
「佐南くんはあり得ないと思うけど、気づいた時には手遅れってことあるからね」

「え?心実?」
「私、好きな人がいた。
ずっと、想いを伝えるの怖くて言えなくて……
勇気を振り絞って告白したら、彼にはもう……奥さんがいた。
………………彼に、言われたの。
“俺も、好きだった。
でも心実は、俺に気持ちなんてないと思ってた”って」

「え……」
「“もう、遅い!”って」
「そんな……」
「その彼、今は私の彼氏」
「え!?」
「彼は、離婚して私のところに来てくれた。
………………でも私は、彼の家庭を壊した」
「心実…」

「しかも元・奥さんは妊娠してた。
結果的には、私は好きな人と一緒にいれるけど……
私……元・奥さんと子どもさんには、一生顔向けできない」

「そんな…ことが……」

「軽蔑した?」
「ううん。そんなことしない」
「いいんだよ。軽蔑しても…」

「私も、最低なこと…してたから」

「え?」
梨々香は、和多との事を話した。
乙哉のいない生活が寂しくて、寂しさを埋める為に不倫を続けていたことを。

「そうだったんだぁ」

「軽蔑…した?」
「しないよ!」
「していいよ!最低だってこと、わかってるから!」

「じゃあ……お互いに、最低だ!」

「そうだね!お互い、最低!!」

駅に着く。
「梨々香、ちゃんと伝えなよ!」
「うん……!」

「梨々~!!」
そこにちょうど、乙哉が駅に現れた。

「じゃあ、私行くね!またねー
……………今日、最高の日にしてね……!」
梨々香に耳打ちをして、去っていく。

「……////もう…////」

「梨々?」
「あ…////」
「どうした?」
「いや、べ、別に////!」

「……??変な、梨々…!」


マンションに帰ってからも、様子がおかしい梨々香。
「梨々、どう?
乙哉特製・野菜たっぷり和風パスタ」
「………」

向かい合って座っていた、二人。
ガタッと音をさせ、乙哉が梨々香の横のイスに座る。

そして、梨々香の顔を覗き込んだ。

「梨々!!」
「……っあ!び、びっくりしたぁー!!
何!!?」
「それは、こっちのセリフ!!
何!!?ボーッとしてんの?」

「ちょっと、考え事!!
……/////そ、それより……は、離れて////?」
顔を赤くし、少し仰け反る梨々香。

「梨々って、可愛いな……」
「え…////」
「ずーっと、見てられる……!可愛い~」

「ちょっ…やめ……////」
「梨々…好きだよ…」
「え?」

「好きだよ。
好き……」
乙哉は、うっとりとして呟いた。
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