幼なじみの一途な狂愛
「んん……」
「あ、良かったぁ……起きてくれた!」

梨々香が目を覚ますと、乙哉が心配そうに顔を覗き込んでいた。

「乙哉…」
「ごめんね。
夢中で梨々のこと抱いたから、歯止めが効かなくて………
梨々、失神したんだ」

「え?し、失神…!!?」

「うん、フッて…意識なくしたんだ」
「う、嘘……」
「本当に抱き壊したと思って、焦った!!」
「ご、ごめんね…」

「ううん!俺が、止まらなかったから……
ごめんな……!」
腕枕をしていた乙哉が、梨々香の頭をゆっくり撫でた。

「乙哉」
「ん?」
「身体、動かないんだけど……」
「フフ…だろうな!」
「こんなの、初めて……!」
「そっか!それだけ、俺は梨々が好きなの!!」

「うん…乙哉は、身体動く?」
「うん」
「なんで…!?」
「体力が違う」
「そうだけど……」

「可愛い~梨々」
「乙哉、泣いてたね」
「は?だから!泣いてねぇ!!」
「泣いてたよ」
「だから━━━━━」
「嘘、嫌いなんでしょ?」

「あ…
はぁー、はい…涙が出ました!」
梨々香の鋭い目に、ため息をつき白状する乙哉。

「でしょ?
それって、感動してくれたってこと?」
「うん…」

「乙哉」
「ん?」

「本当に好きな人に抱かれると、こんなに幸せな気分になるんだね……!」

「そうだな…」

「私の方こそ、好きになってくれてありがとう!」


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「乙哉、何処行くの?」
梨々香の身体が動くようになり、乙哉と梨々香はデートに出掛けていた。

「んー?」
「ジュエリー?」
「うん!予約しておきたくて……!」

「予約?」

「ペアリング、買おう!」

「え?」
「嫌?」
「ううん。いいよ!」
「やった!!」

二人でガラスケースを覗き込む。

「………」
「……梨々~」
「………」
「梨々の頬、気持ちいい~」
「……乙哉」
「んー?」

「ちょっと、離れて!!」

「やだよ!!梨々とは、できる限り離れない!!」

乙哉が梨々香を後ろから抱き締めた状態で、ペアリングを選んでいる為、梨々香は抗議していた。

しかも、頬を擦り寄せてくるのだ。

「でも、決めにくい!それに、恥ずかしい!!」

「でも、やだ!それに、離れたら俺死ぬ!」


「…………乙哉」
梨々香は乙哉に向き直り、頬を包み込んだ。
「梨々…」
「私は“ここにいる”よ!」
「うん」
「大丈夫だから!こんな風に、恥ずかしいことはやめて?」

「………わかった」

それから二人はペアリングを購入し、今は光昭のバーにいる。


「良かったな、乙哉」
「やっとだね!」
「いいなぁ~梨々香ちゃんみたいな子が、彼女なんて!」
スグル達もいて、乙哉は梨々香と恋人同士になれたことを報告した。

「ペアリングなんか、ちゃっかりしちゃってさ!」
貴生が、乙哉の指輪を指差し言った。
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