慶ちゃんが抱いてくれない!
「まぁ、薬学部だと大学の勉強忙しいと思うし一緒に大学行ったりはするつもりないかな」
「三年生になっても楓ちゃんクラスメートでいてくれたらいいなぁ」
「勉強嫌いだし、まだ考え中ー」
実は……未だにまだ武蔵君との事をどうするか決めていなかった。
呪いの副反応がどのくらい強いものなのか分からないから、別れる事になっても好きな場合酷ければ嫉妬で何するか…
こんな事で悩むなら仮で付き合ったりしないでさっさと居なくなれば良かったのに……好きな気持ちは厄介だ。
真穂の寝息が聞こえると私もいつの間にか眠っていた。
次の日。
朝からみんなで初詣に行った。
4人で御参りに並んで居ると慶次君が真穂に話し掛けた。
「真穂、何願うんだ?俺は真穂といっ」
「武蔵君が受験合格しますようにってお願いするよー」
慶次君が言いかけた事と真穂はほぼ同時にそう言った。
「え?慶ちゃん何お願いするの?」
「あ…いや、俺も同じ…」
多分真穂も一生一緒にいれますようにとかそういう感じの事で真穂も一緒的な感じでイチャイチャしようとしたんだろうな…
「二人とも自分の事お願いしなよ」
「自分のは来年でいいもん!楓ちゃんは?」
「私も武蔵君受験の合格祈願でいいかな」
「楓ちゃんまで?じゃあ、俺はみんなの健康でも願っておくよ」
こんなワイワイ楽しい初詣は今回くらいかな…
御参りを終えて、階段を降りようとした時だ。
「おみくじ引くーっ!!」
「こらっ!走らないの!」
ドンッ
後ろから小さい子がぶつかって来て階段を踏み外した。
「危ないっ!」
誰かが掴んでくれたけど、体はもう落ちる方向に行っていてそのまま一緒に階段の下に倒れ込んだ。
「痛っ……」
掴んでくれた人が私の下敷きになってくれていて痛くな……あれ?
下敷きになってくれていたのは何と慶次君で……何と……慶次君と私の唇が重なっていた。
「楓ちゃんっ!慶次……」
「楓ちゃん、慶ちゃん!だいじょう……ぶ」
急いで慶次君から離れた。
「ごめんなさっ…あの」
「こ、これは事故だ!唇がちょっとぶつかっただけだから!」
慶次君は真穂と武蔵君に向かってそう叫んだ。
嘘でしょ……キス……してしまった………
しかも相手は慶次君………どうしよう………慶次君事………
真穂の彼氏なのに!いつ副反応来るんだろ……?
どうしよう……もう武蔵君の事も………
キスをしてしまった事で動揺した私はある事が頭からすっぽり抜けている事にも気付かずに、真穂の前で慶次君の事を好きになってしまう前に……
「楓ちゃんっ、今の事故だから!ね?」
立ち上がると真穂がそう声を掛けてくれた。
「ごめ……みんな……着いてこないで…」
魔力を使って一瞬気配を消して、私はその場から立ち去った。