慶ちゃんが抱いてくれない!
呪いの解明 ~武蔵side~
慶次とキスをしてしまった楓ちゃんは魔力を利用してその場からいなくなってしまった。
「南條何処に行った?そりゃあ、新年早々俺もショックだけど事故なのに魔力使って逃げるほどの事かよ……あんだけ生きてりゃキスくらい何回もしてるだろ」
「慶ちゃん体痛くない?」
「ん…ケツ打ったけど、平気」
真穂は慶次の手を掴んで立たせて上げている。
……確かに慶次の言う通りだ。
楓ちゃんの動揺の仕方が何かおかしかった。
そういえば楓ちゃん、キスに関してはやたらと念を押したりこだわってよな。
「ンー。やっぱり楓ちゃん連絡繋がらないなぁ…お家帰ったのかな?」
「魔女同士で居場所とかわかんないのか?」
「そんなのわかんないよー」
「魔女同士で……そうだ!真穂!楓ちゃんに呪いが掛かってるとか分からないかな?」
「呪い?そういえば、南條は俺に呪いが掛かってる事見ただけでわかってたぞ」
「え?慶ちゃん呪いかかってるの!?えー!見ただけで分かるのかな?」
「何か印でも付くのか?っつーか、何で今呪いの話?」
「楓ちゃんから聞いた事は無いけど、もしかしたら楓ちゃんに何か呪いが掛かってたんじゃないかと思って」
俺は慶次をじっと見てみるけど特に何も変わったところはないように見える。
もしかして魔女しか分からないのか?
「真穂、俺と慶次見比べて何か違いない?」
「違い?……ん〜?あ、そういえば慶ちゃんって瞳の色少し青っぽいよね?って言っても、黒に近いくらい濃い色だけど」
「そうか?目の色なんてそこまで気にした事無かったけど兄貴とそんな変わらないと思うけど」
「いや、慶次の目が紫っぽいって事はないから多分呪いが掛かると魔女なら目の色でわかるんだ」
「そうだったの!?知らなかった…だとしたら楓ちゃんの目の色も!楓ちゃんの目の色って綺麗なピンクに近い紫だよ、もしかして外国人とのハーフとかなのかなって思ってた……」
楓ちゃんの瞳の色は薄めの茶色だ。
やっぱり何かの呪いに掛かってるんだ。
あんな逃げ方したんだ。
慶次とのキスで何かあるのかもしれない。
楓ちゃんに電話を掛けてみるけど電源が切られていて繋がらない。
「……南條このまま何処かにいなったりしないよな?」
「え!?やだ!こんな急にいなくなるなんてやだよ!」
「魔女がいなくなるときって魔力使って引っ越し出来るのか?」
「いや、魔法使いみたいな事は出来ないと思う。真穂のおばあちゃんも普通にスーツケース引いて歩いてたし……」
「じゃあ、南條の家に張り込めば戻って来るんじゃね?」
「さっきみたいにすり抜けられて閉じこもっちゃうよ」
焦らないでよく考えないと……本当にもう一生会えなくなるかもしれない。
もし楓ちゃんが何かの呪いに掛かってて、キスで解ける呪いが解けたという事ならあんな逃げ方しないはずだ。
キスの事はやたらと念を押していたからしてしまうとよほど何か悪い事が起きるのだと思う。