慶ちゃんが抱いてくれない!
「私のことはどうでも良いの!今更経験したって何か変わるわけじゃないし!」
「え!やっぱり武蔵君と!?」
「違っ!もういいから!真穂と慶次君の話でしょ!まさか、決断変えてないんでしょ?」
「うん……慶ちゃんには辛い思いさせるのわかってるけど」
「300年生きる事になったら真穂はその倍辛い思いする事になるんだから気を負わなくていいの」
楓ちゃんはそう言って優しく頭を撫でてくれた。
すると、涙が溢れてくる。
「ほら、泣かないで……」
私が泣き止むまで背中を擦ってくれる。
せめて慶ちゃんの前では泣かない様にしなくちゃ……
ようやく落ち着いて、チョコレートに加えてチョコレートクッキーも焼いてラッピングをしていると慶ちゃんがやってきた。
「あ、慶ちゃん!」
「おう」
「ちょっと、出来上がって持って行くまで待てなかったの?」
「そんなわけないだろ!今、兄貴が勉強の休憩始めたから知らせに来てやったんだよ。会うのずっと我慢してるんだろ?渡してくれば?」
「我慢なんてしてないけど?武蔵君なら前期で絶対合格しちゃうし?あと一ヶ月くらい我慢出来ないわけないじゃない。何年生きてると思ってるの?ラッピング出来たから持って行くけど!」
楓ちゃんはそう言いながらすごい速さで片付けと支度をしていてもうリビングのドアの前まで行っている。
「それじゃ、二人の邪魔したら悪いから行くわ」
「う、うん……いってらっしゃいっ!武蔵君に勉強頑張ってねって伝えておいて」
行っちゃった……。
「……ここのリビング寒くね?」
慶ちゃんはソファに掛かっていたブランケットを肩から被ってソファに座った。
「あんまり暖かいとチョコ溶けちゃうからストーブ止めてたの、今点けるね!」
ストープを点けると慶ちゃんはブランケットを広げて手招きをした。
「部屋暖まるまで時間掛かるだろ?こっち来いよ」
「うんっ」
チョコを持って慶ちゃんが座っている足の間に座ると後ろから抱き締めてくれて一緒にブランケットに包まった。
「慶ちゃんハッピーバレンタイン~」
「ありがとう……真穂ごともらった」
「ひゃあーっ」
慶ちゃんはそう言ってラッピングした手作りのチョコとクッキーを受け取ってくれて私のおでこにキスをした。