慶ちゃんが抱いてくれない!





今日は武蔵君の卒業式だ。





つい先日武蔵君の大学入試の前期の結果が出ていて、見事に国立の薬学部に合格をした。




「武蔵君卒業おめでとう!」

「ありがとう、三人とも化学部の事よろしくね」

「俺は化学部じゃねぇって」

「えー!武蔵君いないのに?楓ちゃんは続けるのー?」

「……」



楓ちゃんは俯いてボーっとしていた。



「楓ちゃん?」

「へっ!?えっと……あれ……」



楓ちゃんの目からポロポロと涙が溢れて来ている。



「南條、何で泣いてんだよ……?兄貴に卒業寂しいのか?」

「え?そうなの!?」

「違っ……違うわよっ!」

「楓ちゃんは相変わらず可愛いなぁ」



楓ちゃんがむきになる時は図星だ。
すると、武蔵君は優しく笑って楓ちゃんの頭を撫でると肩を抱いて人の少ないところへと連れて行った。



「……楓ちゃんはやっぱり一緒に三年生ならないのかな?」

「元々勉強目的で通ってないからな。卒業する必要もないし」

「そっかぁ、楓ちゃんともあと一年一緒の学校通いたかったなぁ」






しかし、楓ちゃんは何と一緒に三年生になった。
学歴を大卒にしたいそうで、高校卒業後も私達と一緒に附属の大学へ進学するつもりみたいで楓ちゃんとまだ一緒に学校に通えると思うとすごく嬉しかった。




< 119 / 132 >

この作品をシェア

pagetop