慶ちゃんが抱いてくれない!
胸がざわつく日 ~慶次side~
娘の桃菜(ももな)が生まれて8年。
子育ては思う様に行かない事もあったり、意見が合わずに喧嘩する事もあった。
波乱万丈ではあったが俺達は仲の良い幸せな家族だった。
真穂が33歳のある日の事だ。
寿命である30歳を越えて3年も過ぎている。
いつ突然真穂との別れが来るかわからない。
だから、後悔しないように毎日新婚の様に朝仕事に行く時とと夜寝る前に愛してると伝える様にしていた。
朝いつも通り目が覚めてキッチンに行くといつもの様に真穂は俺と桃菜の朝食を作っていた。
「慶ちゃんおはよう!」
「パパおはよー」
「おはよう……」
「桃ちゃん、お手伝いありがとねっ!あとママ持ってくから食べよう」
「うんー!いただきまぁす」
桃菜はにこにこしながらご飯を丁寧に食べ始めた。
桃菜は顔は小さい頃の真穂とそっくりで性格はおっとりしていて見ているだけで癒されるので毎朝癒されている。
でも……なんだろう?
いつもと同じなのに何だか胸がざわざわした。
「慶ちゃん?どうしたの?ボーっとしてる?早く食べないと遅刻しちゃうよ?」
「あぁ……今日在宅ワーク……なんだ」
「そうなの?」
「さっき思い出したんだ」
「……そっか」
今日は在宅ワークでも問題ない仕事内容だ。後で会社に連絡しておこう。
桃菜が朝ごはんを食べ終えると、俺は朝食の後片付けをした。
そして、真穂と二人で桃菜を学校に送り出す。
「いってらっしゃい!」
「桃菜っ……」
「ん~?」
「今日学校終わったらすぐ帰っておいで」
「どうしてぇ?」
「なんか今日はママと桃菜と三人で遊びたい気分なんだよなぁ!桃菜が学校から帰って来るまでにお仕事終わらせちゃうから帰ったら遊ぼう」
「うんー!遊ぶー」
「よし、それじゃあ、行ってらっしゃい」
「行って来ますー」
桃菜は手を振って学校へと向かった。