慶ちゃんが抱いてくれない!
電話を切るとリビングのソファに座っている真穂の隣りに腰掛けた。
「今日……仕事休みだ。桃菜が帰って来るまでに戻らないとだからあんまり遠くには行けないけどさ、何処かデートでも行く?行きたいところあれば聞くよ」
「慶ちゃんごめ」
「謝らないで。真穂が謝る事何もないから。頼むから……今日は謝らないで」
「……うんっ……わかった。そうだなぁ、今日はお家で色んなお話して過ごしたい……それでいっぱい抱き締めて欲しい」
「あぁ……そうしよう」
桃菜が生まれてから真穂が甘えてくれる事は少なくなった。
俺はソファに掛けてあるブランケットを肩に掛けて広げた。
「ほら、ここ座って話そう」
「ふはっ……おばあちゃんの家に住んでた時の事思い出すー」
真穂が俺の足の間に来ると抱き締めてブランケットに一緒に包まった。
「桃菜が帰って来るまで慶ちゃん独り占めしよっ」
「俺が真穂の事独り占めしてるんだろ」
真穂を抱き締める腕を強めた。
「あ……やっぱりこれ駄目かも」
「何で?」
「嬉しいのに……幸せ過ぎて……涙……出ちゃう……折角の時間なのに」
「……泣いて良いよ。我慢しないで思ってる事言ってもいいし」
俺も……涙がボロボロ溢れてきた。
「じゃあ……慶ちゃんも思ってる事言ってね」
「わかった……」
「慶ちゃんと付き合って16年すっごく短かった……」
「あっという間過ぎだったな。言っておくけど俺の方が真穂の事好きだから」
「えぇ!ズルい!私の方が好きだよ」
「このまま離したくない」
「私も……もっと……もっと沢山一緒にいたかった」
真穂の唇を奪ってそのままソファに押し倒して……俺達は何度も愛し合った。