慶ちゃんが抱いてくれない!
「慶ちゃん……桃ちゃんの様子見に行ってもらってもいいかな…?」
「…あぁ」
俺は急いで桃菜走って行った洗面所へ行くと桃菜は電気も点けずに、しゃがみ込んで泣いていた。
今日が真穂と一緒にいられる最後の日だという事を桃菜も気付いていたらしい。
黙っていたけど、気が付いたか。
小さいのに我慢されてしまって申し訳なく思う。
「……ヒグッ……パパ…ごめん……っ…今日ね…桃……ママと笑って……過ごしたいの……でも……我慢出来なくて……ごめんなさ……ヴぅッ…」
「……いや。我慢しなくていいよ」
桃菜の背中を摩ると、桃菜は俺に抱き着いた。
俺はすぐに桃菜を抱き締めて一緒に涙を流した。
桃菜は少しの間俺に抱きついて泣いていたが、目を擦りながら俺から離れた。
「……ママ所戻ろ?一緒にいられる時間無くなっちゃう」
「あぁ、そうだな」
俺は桃菜の頭をポンポンと撫でた。
キッチンに戻ると、夕飯はもう出来上がっていた。
そしていつもの様に夕飯を食べ終えた。
「ママぁ、今日一緒にお風呂入ってもいい?」
「うん!一緒に入ろっか」
「パパは入って来ちゃダメぇ」
「わかった、わかった」
「ふふっ!すぐに片付けちゃうからちょっと待っててね」
「片付けは俺がやるからゆっくり入って来な」
夕飯の片付けをしようとする真穂を止めて、俺は食器の片付けを始めた。
「ママ、行こう?」
「慶ちゃん、ありがとね!」
真穂と桃菜は風呂へ行って、その間に食器の片付けを済ませた。
二人が出た後に俺も風呂へ入って、昼間に色んな事を話したけど最後に真穂と何を話そうか考えたが全く思い付かなかった。
何も考え付かないまま風呂を出ると、いつもならまだこの時間は二人共リビングにいる時間だけど二人共いなかった。