慶ちゃんが抱いてくれない!
スイーツビュッフェデート



土曜日。



慶ちゃんの家のリビングのソファにムスッとした顔で座っている慶ちゃんの横で私は慶ちゃんに手を合わせていた。


昨日とかいつも通り一緒に学校行ってくれたりしたから許してくれたのかと思ってたけど、どうやらこの問題は別らしい……。


「慶ちゃん…この前はごめんね…。一緒にビュッフェ行こう?」

「……兄貴と行くんだろ」


ずっと黙っていた慶ちゃんがそう言うとハッとした。


武蔵君の言う通り嫉妬してくれた……?


慶ちゃんが嫉妬してくれるなんて信じられなくて慶ちゃんの声を勝手に使ったから怒って行かないのかと思っていたけど、そういう事なら絶対に慶ちゃんと一緒に行きたい。


「慶ちゃんと行きたい……だってさ、スイーツビュッフェ最初に慶ちゃんが見つけて教えてくれて何回も一緒に抽選予約に挑戦してやっと当たったんだよ?一緒に行こうよ」


そう言うと武蔵君が吹き出して笑った。


「……ククッ……慶次が見つけたんだ……てっきり真穂が慶次にせがんだのかと思ってたのに」

「な、何笑ってんだよっ!真穂もいちいち行くことになった経緯とか言うんじゃねぇよ!」


慶ちゃんは顔を真っ赤にして武蔵君に向かって叫んだ。


「えぇ!だってそうだったじゃん!どうして言っちゃ駄目なの?」

「ほら!慶次、意地張ってないで行って来なよ」



武蔵君にそう言われて慶ちゃんは勢いよく黙って立ち上がって玄関に向かった。



うぅ…全然機嫌直ってないけど大丈夫かな…?



不安になって武蔵君の方を見ると武蔵君は笑って頷いた。
私は急いで武蔵君に口パクでお礼を言って慶ちゃんを追い掛けた。




さり気なく慶ちゃんは甘い物好きだから本当は楽しみにしてたのかもしれない。




ビュッフェの事しか頭になかったとはいえ本当に悪い事しちゃったな……



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