慶ちゃんが抱いてくれない!
子供時代 ~慶次side~
真穂とは家が隣同士で家族ぐるみで昔から仲良くしていた。
いつから一緒にいたのかは覚えていない。
物心ついた頃から俺と兄貴と真穂の三人でいつも遊んでいてそれが当たり前だった。
約12年くらい前のある日。
この日俺は鼻風邪を引いていて真穂と遊んでいる時も鼻水を垂らしていた。
「慶ちゃん!お鼻チーンしよ?」
「んー」
俺の方が真穂よりも誕生日は早いはずだけどこの頃は真穂の方が背も高く、真穂はやたらと俺の世話を焼きたがっていた。
真穂は俺の鼻にティッシュをあてがって鼻をかませてくれた。
「慶ちゃんお鼻かむの上手!綺麗になりました!」
そう言うと、にこにこしながら俺の頭をポンポンと撫でる。
「ありがとー…お、お礼に!真穂の事お嫁さんにもらってやる!」
初恋が真穂だった俺は真穂にそんな事を言った。
真穂の事が好きで好きで……子供だから何でも言えるわけでもなく、ずっと言うタイミングを考えていてやっと言えたからこの時の事は今でもよく覚えていた。
「えええ!本当に!?まほちゃんもねっ!慶ちゃんの事大好きだから慶ちゃんのお嫁さんになりたい!」
小さいながらに勇気を出して言った告白を受け入れてもらえてすごく嬉しかった。
「じゃあ、まほちゃんは慶ちゃんのお嫁さんだからおばあちゃんが作ってたお薬を慶ちゃんに作るね!」
「うん?」
子供の頃、真穂のおばあちゃんには何度も遊んでもらった事があった。
この頃は魔女の事なんかちゃんと理解していなかったが、真穂のおばあちゃんが自分のお母さんやお祖母ちゃんよりも見た目が若いのに何故か特に気にした記憶がない。