慶ちゃんが抱いてくれない!
すごく良い香りがしてきて、俺と兄貴は何が出来るのかワクワクしながら出来るのを待っていた。
お手伝いをすると言っても真穂は使うのか使わないのかよくわからない材料のりんごを持ったまま真穂のおばあちゃんにずっと話し掛けていた。
「おばあちゃん!まほちゃんねぇ、慶ちゃんのお嫁さんになるんだよー!」
「そっか、真穂ちゃんは慶ちゃんの事大好きだもんね」
「うんっ!慶ちゃんも真穂ちゃんの事大好きなんだからお嫁さんにしてくれるんだって!」
「じゃあ僕も真穂ちゃんお嫁さんにしたいなぁ」
「お兄ちゃんはダメ!オレが真穂をお嫁さんにするって先に約束したもん!」
「そっかぁ、じゃあ僕大きくなったら真穂ちゃんのおばあちゃんをお嫁さんにするね!おばあちゃん、お嫁さんになってね?」
「ふふっ!武蔵君大きくなるの楽しみにしてるね」
真穂のおばあちゃんは俺達の話に受け答えしながら手を動かしていた。
「はい、完成!真穂ちゃん、これ慶ちゃんにどうぞしてね」
「うんっ!慶ちゃんどうぞー」
真穂が綺麗なガラスのコップに入った謎のジュースを差し出した。
受け取ると、コップからすごく良い香りが漂ってきて俺はすぐにそれをゴクゴクと飲んだ。
「わぁ!すごく美味しい!」
「本当!?僕もちょっと飲みたい!少しちょうだいー」
「武蔵君、それはお鼻の風邪引きさん用だから武蔵君と真穂ちゃんはこっちね」
真穂のおばあちゃんはそう言って、俺が持っていたコップを取ろうとする兄貴を止めて二人に謎のジュースの入った別のコップを渡した。
「本当だぁ!武蔵君、美味しいね!」
「うんっ」
「あ!鼻水出なくなったよ!」
「真穂のおばあちゃんの魔法のお薬すごいね!」
子供の頃はこうして、よく真穂のおばあちゃんには世話になっていた。
年齢はわからないが、恐らく100年以上生きているであろう真穂のおばあちゃんは知識や人生経験も豊富で完璧な女性だった。