慶ちゃんが抱いてくれない!
南條の目を見るとなんだか嫌な感じがして俺はすぐに目を逸らした。
何だ?この感覚は……
「…俺、教室戻るから」
「まだ戻っちゃダメ。私の目見て」
「は…?」
南條のいつもと違う声のトーンに何故か動揺してしまって、気が付くと南條の目を見ていた。
「………やっぱりね」
「何が?」
「花沢さん以外からの魔力に影響しないようになってる」
「……ちょ、ちょっと待て!まさか…南條って…?」
すると、南條はニコッと笑った。
「そのまさか♪今年で237歳、正真正銘の魔女で~す」
「マジかよ……魔女って世の中にそんな何人もいんの?」
通りで先生の挙動おかしかった。
ここまで上手いこと誘導されてきたってわけか…。
「花沢さんも魔女だよね。まだ18歳迎えてないから未完成の魔女だけど…。これだけ生きてきて自分の身内以外の魔女と会ったのは初めてだよ」
「あ、そう…。っつーか、それなら俺じゃなくて真穂と話せば?魔女トークとかで盛り上がるんじゃねぇの」
「ん~?別に魔女同士馴れ合うつもりないし」
「じゃあ、俺に何の用だよ?」
「慶次君、花沢さんに気に入られてるみたいだけど花沢さんの誕生日までどうするのかな~って思って!魔女自体会うの初めてだけど、魔女にとって大事な時期にどうなるのかすごく気になるじゃない?」
「どうするって…どうもしねぇよ」
「それもそうか!そうじゃなきゃ、好き同士なんだから今時とっくにエッチくらいしちゃってるよね~」
「す、好きとか……そんなんじゃ……」
「…さっき言ったでしょ?慶次君は花沢さん以外の魔力は影響しないようになってるって…」
「俺は真穂の魔力にも影響してねぇよ!」
真穂が魔力を使って俺の気持ちを動かしてるとでも言いたいのだろうか?
この気持ちは魔力なんかじゃない。
小さい頃からずっと変わらない俺の気持ちだ。
すると、南條はお腹を抱えて笑った。