慶ちゃんが抱いてくれない!
「ちゃんと付き合うかどうかはっきりさせないと、都合悪くなったら『だって付き合ってねぇし』とか言って逃げるのよ!男って!逃げ道作らせたら駄目!」
うっ……そういえば、慶ちゃんに前に似たような事言って曖昧にされた事ある。
「…楓(カエデ)ちゃん、昔何かあったっぽいな?……でも、俺も二人にはちゃんとお互いの気持ち伝え合って段階踏んで欲しいな」
「うぅ……慶ちゃんが私の事好きって言ってくれるところが想像つかない…」
「そんなの、今度キスされそうになったり、手繋がれそうになったら付き合わなくちゃしないって言えばいいの!」
「分かってるよー……でも、ずっと振られてるからまた振られるかもしれないし、慶ちゃんとキス出来れば何でもいいやって思っちゃって……」
「花沢さん相手が悪い男だったら完全に都合の良い女にされるタイプだわ…っていうか、慶次君もヤるヤラないは別問題として振ってないで、さっさと付き合えばいいのに」
「多分…慶次、付き合ったら色々押さえられないタイプだからね。今葛藤してるんだろうな」
結局この日の部活はそんな話をしてたらあっという間に終わってしまった。
部活を終えた私達はいつもの様に三人で下校。
三人で下駄箱へ行くと、下駄箱の近くの椅子に慶ちゃんが座っていた。
「慶ちゃん!どうしたのー!?」
慶ちゃんの姿を見ると、私は誰よりも早く慶ちゃんのところへ走って行った。
「そこの本屋行った帰り。時間的に兄貴達も部活終わる時間だったからな…」
「そうだったんだぁ!じゃあ、一緒に帰ろ?」
「ふーん?本屋行ったのに手ぶらですねぇ?」
「か、買うもんなかったんだよ!」
慶ちゃんはそう言って立ち上がった。
「慶次も化学部入ればいいじゃん」
「やだよ、実験にも魔法薬作りも興味ないし」
すると、南條さんが突然武蔵君の腕に抱き着いた。
「ねぇ、武蔵君~?部室に忘れ物しちゃった…暗くて怖いから一緒に来て~」
「それは大変だ。じゃあ、俺達取りに行ってくるから二人は先に帰ってて」
二人はそう言って行ってしまった。