慶ちゃんが抱いてくれない!
私だって慶ちゃんにベタベタしたいのに!
むーっ………
慶ちゃんがモテるのは今に始まった事じゃないのに、何だか今日はすごく苛立った。
はっ!!
やばい…感情抑えないと!
「……花沢さん」
「え?」
すると、近くに座っていたクラスの男子が私の手を掴んだ。
「好きだ!」
「お、俺も!」
「ふざけんな!俺が先だ!」
他の男子達も教室の後ろで彼女の佐藤さんといちゃいちゃしていた田中君まで私の周りに集まって来てしまう。
やってしまった…!
「ご、ごめんなさい…私…えっと…」
私はその場から逃げ出そうとしたけど、男子達に囲まれてしまった。
男子達がこうなってしまったのには、とある原因がある。
「ちょっと!急にどうしたの!?」
「佐藤さん!ごめんね!すぐ正気に戻るから!」
「花沢さん、何処行くんだよ?こんなに好きなのに!」
「今すぐにでも結婚しよう…」
逃げ場がない…
すると、一人の男子が抱き着いてきた。
「ひゃあっ!離して!」
「真穂!お前、何してんだよ!?」
「慶ちゃん!助けてっ…」
男子達の間を慶ちゃんが割って入ってきて、私の腕を引いて抱き着いている男子を引き離した。
そして、私の手を引いて教室を飛び出す。
近くの物置になっている教室に逃げ込んで、扉に鍵を掛ける。
「ハァハァ…慶ちゃんありがとう…」
「お前、気を付けろよな…下手すりゃ傷害事件起きるぞ」
「ごめん…」
「最近、アレ……暴走気味じゃねぇか?」
そう。
先程、男子達が私に迫ってきたのは実は私の魔力の暴走が原因だ。