慶ちゃんが抱いてくれない!
そんな言いにくいような事なのかな……
何回か続いたので、少し不安になった。
……ずっと慶ちゃんと付き合う事ばっかり考えてたけど、もしかして正式に振られるパターン!?
最近キスしたり、手繋いでくれるのって私がずっと好き好き言っててちゃんと振るのは可哀想だから別れる前にお情けでしてくれてる?
ミルクまんとチョコまんを食べ終えると、慶ちゃんは立ち上がった。
「食ったし、帰るか」
「うんっ!慶ちゃん手ー貸してー」
私はベンチから立ち上がる時に、慶ちゃんに甘えて手を伸ばした。
そうすると、慶ちゃんは私の手を掴んで引っ張り上げてくれる。
「ふひひ!ありがとっ」
「…ったく、甘えんな。自分で立てるだろ」
そう言いながらも、慶ちゃんは引っ張ってくれるから優しい。
いつもは立ち上がると、慶ちゃんは私の手をすぐに手を離すんたけど…
今日は掴んだまま、私の手を引いて歩き出した。
…あれ?
また…慶ちゃんと手繋いで歩いてる…。
すると、南條さんの言葉が頭を過ぎった。
うぅ…手繋ぐなら、ちゃんと付き合ってって言わないと……。
……慶ちゃんと手を繋いでるこの瞬間が幸せ過ぎて言えない!
そうだ!キスじゃないもん…手繋いでるだけだし…。
そう言い訳をして、結局家の前まで手を繋いで歩いた。
「……じゃあ…また明日な?」
「うん…またね!」
そう言って手が離れた瞬間……
慶ちゃんは離した手で私の肩を掴んで、私の顔を覗き込む様にして唇を重ねた。
言わなくちゃ……キスするなら付き合ってって言わなくちゃいけないのに…
私は慶ちゃんの手をキュッと握って、慶ちゃんのキスを受け入れていた。
昼休みの一瞬と違って少し長めのキスだった。
そして、唇が離れると慶ちゃんはすぐに自分の家の方へと歩いて行ってしまった。
……ああああ……言えなかった。
南條さんが言ってたみたいに言わなくても、好きって何回も告白してた時みたいに言えばいいのに…。
慶ちゃんの脈が見えてきてから…慶ちゃんにまた振られるのが怖くなってしまった。
何回振られても平気だったのに…。
こんな事してるのに振られたらショックだしさ。。