慶ちゃんが抱いてくれない!
修学旅行 ~真穂side~
今日から修学旅行。
自由時間は慶ちゃんと南條さんと市内観光をして、すごく楽しい時間を過ごしていた。
「ねぇ慶次君~。そこの自販機でみんなの分の飲み物買って来て」
「…何飲むんだ?」
「ミルクティー」
「あっ!私も一緒に買いに行くー」
「花沢さんはこっちで座ってていいよ~。慶次君、花沢さんの飲みたいものくらいわかるでしょ」
「チッ」
慶ちゃんは珍しく文句一つ言わずに買いに行った。
南條さんの隣りに腰を掛けながら自販機で飲み物を買う慶ちゃんを眺めていると、違うクラスの女の子達に話し掛けられているのが見える。
はぁ…慶ちゃん、相変わらずモテるなぁ…
やっぱりこんな面倒な宿命背負った私じゃなくても……
「気になる?」
「へ!?あ…ううんっ!いつもの事だから…」
そういえば最近仲良くしてたからすっかり忘れてたけど南條さんも慶ちゃんの事…
「言っておくけど、別に慶次君の事どうとも思ってないからね。魔女の花沢さんと関わってたから興味あっただけだよ」
「あ、そっか!最近は武蔵君との方が仲良しだもんね!」
「……何言ってんの?わ、私が!男子高校生なんてお子様を相手にするわけないじゃない!」
「えー!武蔵君、優しいからオススメだよ!でも200歳以上も年下だとお子様っぽくなっちゃうのかなー?二人お似合いだなぁって思ってたんだけど…」
「そんな事気にしなくていいから、慶次君との事早くちゃんとしなさいよ!」
「うぅ…うん…。ねぇ、南條さん……ずっと言いたい事あったんだけど……」
「何?」
「……あのっ!私の事真穂って呼んでいいから、楓ちゃんって呼んでもいいー?せっかく仲良くなったから下の名前で呼びたいなって…へへッ」
「そんなの……いいに決まってるでしょ」
「本当!?楓ちゃん!」
私は嬉しくて楓ちゃんに抱き着くと、頭を撫でてくれた。
優しい楓ちゃん大好き!
「…お前ら何いちゃいちゃしてんだ?」
「ふひひー!楓ちゃんともっと仲良くなっちゃった」
「邪魔者が来ちゃったね。ミルクティーありがと」
慶ちゃんはミルクティーを楓ちゃんに渡して、私にはココアをくれて私の隣りに座った。
「慶ちゃんありがとう!」
「ん」
私が好きなココアだ…。