慶ちゃんが抱いてくれない!
修学旅行の夜 ~真穂side~
ラップを持った小山君が私の腕を掴んで、顔が近付いてきた。
「真穂ちゃん、そんな警戒しなくても一瞬だけで大丈夫だから、ね?」
いくらゲームでも……一瞬でもラップ越しでも慶ちゃん以外の人とキスするなんてやっぱりやだ……。
ちゃんと自分で断らなくちゃ!
「……わ、私やっぱンッ……!?」
キスをされそうになった瞬間私の唇を誰かが後ろから手で覆った。
そして、小山君はラップ越しにその人の手の甲にキスをしていた。
「ン!?おいー!慶次、何してんだよ!真穂ちゃんにキスさせろよ!」
慶ちゃん!
私がキスするの嫌って気付いてくれたんだ……。
「慶次~妹みたいな花沢さんが野郎とキスしてる所なんか見たくないのはわかるけどさぁ、王様の命令は絶対だろー」
「うるせぇ!王様の命令なんかどうでもいいんだよ!俺の真穂に触んな!」
え?
慶ちゃんはそう言うと、私をグッと引き寄せた。
「え…?俺の?」
コンコンッ!
「オーイ!消灯時間過ぎてるぞ!まさか、女子が来てたりしないよな?チェックするぞー!開けろー」
外から担任の先生の声がした。