慶ちゃんが抱いてくれない!



自分が普通の人間の女の子だったらヤキモチを妬いても慶ちゃんには言わずに一人で落ち込んで終われるけど、原因を突き止めて解消しないと暴走は止まらないから…



本当、魔女なんか面倒臭くて慶ちゃんに嫌われていく一方だ。


慶ちゃんから目線を逸らして俯いていると、慶ちゃんは私の頭にポンと手を置いた。


「別にベタベタしてたつもりないよ。あれはアイツが勝手にくっ付いて来るだけだろ。下手に拒否したら余計しつこそうだから勝手にやらせておいてるだけだから」

「でも!南條さん…胸とか大きいし…」

「別にデカい胸に興味ねぇよ」

「…本当?」

「本当だって。とにかく南條とは何もないから……まだ甘い匂いするな。まだ納得出来てねぇの?」

「えっと…私も慶ちゃんとベタベタしたいのにって思った…」

「くっ付くくらいならいいよ。それ以上の事したら真穂のばあちゃんに来てもらって誕生日まで何処かに隔離してもらうからな」

「うあ!おばあちゃんは呼ばないで!」


私のおばあちゃんは、強い魔力を持った魔女だ。そしてちょっと怖い…


見た目は若いまま年齢は不詳で今はフランスの郊外の人が少ない田舎の方に一人で住んでいる。

お母さんがおばあちゃんに相談する事なく魔力を持たない魔女になってしまったからか私には強い魔力を持った魔女になってもらいたいみたいでそんな提案をされたら確実に誕生日まで隔離されてしまう。


誕生日までに慶ちゃんを惚れさせて、結ばれる計画が全部ダメになる。



「わかったから、早く暴走止めろよ」


慶ちゃんはそう言うと、私を引き寄せた。
そんな慶ちゃんの胸に私は急いでギュッと抱き着く。

すると、慶ちゃんはポンと私の頭を撫でた。


「慶ちゃん……私が幼馴染みで、慶ちゃんの事好きになっちゃったばかりに…こんな事付き合わせてごめんね…」

「はっ…今更だろ。魔力制御出来ないの真穂の誕生日までだし…。幼馴染みなんだから気にすんなよ」


力の暴走止める為だとはわかっているけど、やっぱり慶ちゃんは優しくて…

人生の半分以上慶ちゃんがいないなんてやっぱり耐えられないよ。


「………お、匂い止まったな」

「本当?慶ちゃん、ありがとう」

「いいよ。学校じゃ、俺と兄貴しか事情知らねぇし」



慶ちゃんから離れると、慶ちゃんはふッと笑った。



本当…慶ちゃん好きだぁ!!
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