慶ちゃんが抱いてくれない!
夕食を食べ終える頃。
慶ちゃんがやって来た。
「あ、ほら、慶次君来たよ」
楓ちゃんはそう言って私の腕をつんつんとする。
「……南條。この後のバスの集合時間までの自由時間真穂借りていい?」
「どうぞ~。返却不要です」
夕食後は閉園時間まで自由行動だ。
ここは遊園地も併設されているので、一日楽しめるレジャー施設になっている。
「んじゃ、遠慮なく借りてく…。真穂、もう行ける?」
「う、うん!行ける……」
私は急いで立ち上がって、楓ちゃんをチラッと見ると口パクで「頑張って」と、言ってくれた。
わぁ!ドキドキする!
っていうか、慶ちゃんの話は……もしも告白じゃなかったら?
今まで、付き合ってもないのにキスしてごめんとかそういう話じゃありませんように。
また不安になってきてしまう。