慶ちゃんが抱いてくれない!
「…今まで振りまくってごめん」
「ヴー…本当だよ!好きだったら付き合ってくれれば良かったのに!」
「付き合ってなくても抑えきれなくてキスしてんだぞ?俺も好きな気持ち伝えて付き合ったら抑え切れる自信なかった…10代男子の性欲舐めんなよ」
「…別に抑えなくても私、慶ちゃんならいいもん」
「馬鹿。キスだけでもいつも顔真っ赤にしてるくせに」
「そ、そんなの慶ちゃんだって!」
「とにかく…!俺は真穂が30で死ぬのが嫌だったんだよ!」
「あ、そっか!え?それで慶ちゃん……ずっと私の事振り続けてたの?」
「……別に今でも真穂が30までしか生きられなくても良いとか思ってないけど……300年も生きるのは俺じゃないのに、俺が決めることじゃないって気付いたんだ。でも、真穂。まだ誕生日まで時間はある。正解なんてないかもしれないけど、もう一回考えよう?俺も一緒に考えるから」
「うんっ……慶ちゃんありがとう…。お母さんが死んじゃってから、その事は全部一人で決めなくちゃいけなくて……お母さんの命日に毎年一人で泣いてるお父さんの事見てると、好きな人を悲しませるのもツラくて……実は一人で考えるのは少し心細かったんだぁ。だからその事は一人で決めないでもう少し考えてみるね!慶ちゃんと付き合ったらまた違う考え方も出てくるかもしれないもんね!」
そう言うと、慶ちゃんの腕の力が強くなった。
慶ちゃんは少し震えていて…
今度は私が慶ちゃんの頭をポンポンと撫でた。
観覧車が頂上を過ぎた頃、慶ちゃんは顔を上げた。
観覧車の中は暗くて、慶ちゃんの表情はハッキリと見えない。