慶ちゃんが抱いてくれない!
あれはキスをしたくなる魔法薬の事件の時。
慶次に真穂の事を抑えてもらってる外で誰かが入らないように見張りながら必死に製薬の失敗について調べていた。
不安定な真穂の魔力が原因というのは考えにくい。魔力が影響してるかしてないかの違いだから効果が出てるということは俺の分析が間違いだったという事だ。
あの失敗した魔法薬で危険な副作用とかあって真穂に何かあったら…
そんな時に初めて楓ちゃんと出会った。
「ん…?ねぇ、その本……何で持ってるの?」
「え…?」
見上げると楓ちゃんがいた。
かなりの美人で華奢な体なのに大きな胸の楓ちゃんは一目見ればほとんどの男が目を追ってしまうくらい魅力があって俺も一瞬ドキッとしてしまった。
いや、それよりも…
「この本?」
「……もしかして、花沢さんと和泉君の知り合い?」
「あぁ…慶次の兄で…」
魔法薬の本に反応したということはもしかして…!!
「違ったらごめん!もしかして…魔女?」
「あー…和泉君のお兄さんならいっか。そうよ」
「本当に!?魔女って世の中に結構紛れてるものなんだ…そうだ!知り合ったばっかりなのにごめん!ちょっと助けて欲しいんだ」
「魔法薬使った臭いするから気になってたんだよね…何かあったの?」
急いで真穂に飲ませてしまった魔法薬の事を聞いた。
「ふーん…」
「少ししか飲んでないはずなのになかなか治まらないしさ…ちょっと今回踏み込んだ物作っちゃった気がして心配なんだ。効果も見誤っちゃったし」
「そんな心配しなくても大丈夫よ。書き込み見る限りすごく良く分析してるけど、案外魔法薬って適当なものでね?これに乗ってる魔法薬はちょっとくらい失敗しても効果が切れるまで酔っ払ったりする事あるかもしれないけど問題ないから」
楓ちゃんはそう言ってポンポンと俺の背中を叩いて安心させてくれた。