慶ちゃんが抱いてくれない!




そして……年下も可能性ありそうだったからとりあえずデートに誘ってみたら行ってくれるとの事で、今日は楓ちゃんと初めてのデートだ。
楓ちゃんの希望で映画を見に行く事になっていた。




みんなが金曜日に修学旅行から帰ってきてすぐ二日後の日曜日だ。
慶次と真穂は修学旅行の時に付き合い始めて、昨日に引き続き今日もうちのリビングでイチャイチャしていた。





駅前で待ち合わせをして楽しみ過ぎて30分前に着きそう。





ガラスに映る自分の姿をチラッと見て確認する。服装が子供過ぎないか気になって仕方ない。





私服で歩いている社会人っぽい人の服装も見てみるけど、多分今日の自分の服装とそんな変わらない……よな?





っていうか、30分前は流石に早過ぎだったなぁ、コンビニでも入ろうか……ん?





待ち合わせ場所の前を通り過ぎようとすると、腕を組んで立っている楓ちゃんが男の人に話し掛けられているのが見えた。




声……掛けていいかな?




「ごめん、お待たせ」




俺はそう言って楓ちゃんのいるところに駆け寄った。
すると楓ちゃんは俺の腕に抱き着いてきた。



「だから連れいるって何回も言ったでしょ」

「……本当にいたのかよ」



楓ちゃんに話し掛けていた男は大学生くらいの人で俺の事を目を細めてジッと見てくる。



「美人と付き合えて1時間以上遅刻してきて女待たせてたくせに平然な顔して来るなんて良い御身分だな」

「え?」

「ちょっ!あんた関係ないんだから早くどっか行きなさいよ!武蔵君行こ!」



楓ちゃんに引っ張られてその場を離れた。



その場を離れると急いでスマホを取り出して時間を確認すると10時半だ。
待ち合わせ11時じゃなかったっけ?



「ごめん!待ち合わせの時間間違えた!?俺11時だとばっかり思っててっ」

「……11時だよ。まだ30分あるし、早く来過ぎじゃない?」

「ええ!?楓ちゃんの方が先にいたでしょ!?1時間半前からいたの?」

「魔女の時間間隔はおかしいの!いいからもう映画館行くよ!」



楓ちゃんを見ると顔を真っ赤にさせていてパッと俯いてそれを隠した。




何それ……楓ちゃん可愛過ぎなんだけど……。



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