慶ちゃんが抱いてくれない!
「武蔵君…だからね?半分から後ろのページの魔法薬は私の魔力じゃ作れないんだって」
「最近魔力暴走する事あるんでしょ?あくまでも俺の仮説だけど、魔女に18歳は魔女にとって人生を左右する節目の歳になるわけだからどっちも選択出来る様に真穂みたいな魔女は18歳を迎える前に一時的に魔力が上がるんじゃないかな?」
「えー?どっちも選択出来るようにってどういう事?」
「魔力を持たない魔女になる選択をしたければ、意地の悪い事に男の協力が不可欠でしょ。だから魔力が暴走する時期は一時的に男の心を惑わせるくらいの魔力が使える様になるんじゃないかな」
「うーん……そうなのかな?あーぁ、おばあちゃんにもっとよく聞いとけばよかった」
私のお母さんは魔力を持たない魔女だったので小さい頃に他界していて、おばあちゃんは強い魔力を持った魔女で孫なのにおばあちゃんの年齢もわからない上に3年前に海外に移住すると書置きを残して海外に行って以来連絡がつかない。
「俺も真穂のおばあちゃんによく遊んでもらったけど小さい頃だったし、魔女についてはちゃんと聞いた事なかったな。まぁ、俺の仮説が正しければ今なら作れるようになってるかもしれないじゃん」
「多分無理だと思うよー?」
「ふーん。折角慶次の声になってみようと思ったのに」
「……え!?」
慶ちゃんの声と聞いて反応してしまう。
「……慶次の声で慶次が言わなそうな甘々な台詞とか真穂に言ってあげようと思ったのになぁ」
「む、武蔵君!…作るだけ作ってみよ!?」
「よし!作ろう!」
「上手くいったらリクエスト応えてね!?」
「お安い御用だよ」
武蔵君は満面の笑みでそう言った。
私のモチベーションは一気に上がって武蔵君と魔法薬の製薬を始めた。
前にのどの痛みを緩和させるのど飴のような物を作った時は30分くらいで作れたけど、上級の魔法薬を作るのには武蔵君が材料を用意しておいてくれたけど出来上がるのに2時間以上掛かり出来上がる頃には他の部員達はとっくに下校していた。
「出来た!……けど…武蔵君、これ……本当に飲むの?」
「やっぱり上級の魔法薬は見た目が悪いな……」
武蔵君は試験管に入った魔法薬を目を細めて眺めていた。
試験管に入った薬は灰色と紫を混ぜたようなドロドロのヘドロみたいな液体で、人間が飲んでしまって大丈夫なのか怪しい。
しかも、成功品とは限らないし…。